彫刻家という生き方
今日は、山鹿市在住で40年以上彫刻活動をされている竹熊利一さんのアトリエにお邪魔しました。
竹熊さんの彫刻に対する想いって何だろう?
・竹熊さんが彫刻をすることになったキッカケを教えて下さい
「元々、私は中学校の美術の教師をしていました。美術の教師でしたので、生徒達にはちゃんとした教育をしなければいけないと思っていました。ですから、放課後とか夏休みとか空いた時間に技術を磨くために作品を作っていたんですね。それが始まりです」
・そうなんですね。彫刻の方が向いていたってことでしょうか
「はい。まあ、絵でも良かったんでしょうけど…私は彫刻でしたね。絵の方がお金が掛からなかったかもしれない(笑)」
・それで、作られていた作品がこんなに多くなったんでしょうか
「うん、作品はですね、熊本市内や東京で行われていた展覧会に出品していました。熊本総合美術展や日展、日彫展とかね、会員でしたから。公の場で発表することが大切ですよね。今の先生はどうしてるんだろうね」
・菊池川の両岸の山鹿大橋の所に灯籠娘像がありますよね?その経緯はどうだったんでしょうか
「あれはね、私が菊鹿中に居た時かなぁ。平成元年4月に山鹿市長と誰かもう一人が来られてね。山鹿灯籠娘の像を作ってくれないか、と依頼がありました。時間も1年間と決められていましてね、2体。大変でしたね、でもその時はもうアトリエを持っていました。だから出来たんでしょうね、それは大きかったと思います」
・その時の制作過程のパネルがありますね
「そう、これね。彫刻は、粘土で原型を造り、石膏で型取りし、それに樹脂を流し込んで「原像」を作るんです。だから此処にあるのは「原像」ですよ。これを工場に持って行ってブロンズ像にするわけですね。あなたもお金があるならしたらいいよ」
・こう言ってはなんですが、裸婦像が多いですね(笑)
「彫刻はね、裸婦像が基本なんです。服を着ている像があるでしょ?でもそれは服の下の裸や骨格が分かっていなければ出来ないの」
・失礼しました、では竹熊さんの彫刻は販売などはされてないんですか
「商売ではないからね。私のライフワークと言うのかな。40年以上続けてきて、私という人間が居た「証(あかし)」ですよね」
・なんか、勿体ないような気もします
「作って欲しいと言われた時は作りますよ。あとはそうですね、チャリティの一環で作ってますね、これを鶴屋(熊本市内デパート)で販売して、売れた金額を募金する。私には1円も入ってきません(笑)」
・では竹熊さんの作品が欲しかったら、制作依頼かチャリティのを買うしかない
「そうですね、あなたも見たでしょうけど庭の手入れもしなきゃいけないから。これ、ほとんど接ぎ木等して育てたんですよ」
・はい、こんな素晴らしい庭があるとは思いもしませんでした
「彫刻も木を育てる事も似ていると思いますね」
・例えば、この記事を見てアトリエに来たいという人がいらっしゃったらどうしましょう
「彫刻に興味がある人だったら良いのではないでしょうか。冷やかしは困るね、庭の手入れもあるし。まあ、電話連絡して来てくれたら、居ない時もありますし」
竹熊利一さんのアトリエに伺ったが、何だかとても時間がゆっくり動いているように感じる。
そうだ、ここにはアトリエと木々だけがあって、他の様々な情報が見えないからだ。そんな不思議な空間で時間を過ごして、最後の質問をしてみた。
・竹熊さんのこの作品達はもっと多くの人の目に触れた方が良いと思いますが
「そうですね、まあ受け入れてくれる所があればね…ミュージアムなんかにしてね(笑)私は山鹿大橋の灯籠娘像と、城北高校にある理事長の像を作らせて頂いたことで、私の生きた「証」と思っています」
・ありがとうございました。あ、私も制作依頼します。(佐枝)
※竹熊利一さんのアトリエ見学希望の場合は、contact@yamagabeat.netの方にメールを御願いします。
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